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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
「燃えた!?ああ・・・・!なんていうことだ・・・・・!正気か!?あの指輪の価値がどれほどのものか、お前だって知っていただろう!?それを・・・・・あんな女に渡したばかりか・・・・・・燃えてなくなっただって!?」
「モーリス。君にあの指輪のことをとやかく言う権利はない」


フレデリクがモーリスに冷たい視線を向けながら言った。
モーリスの口元が引きつる。

「・・・・・ああ、そうか。そうだな。指輪をどうするかはお前の自由だ。お前はあの女の本性を知らなかったからな。こんなことならもっと早くに教えてやるべきだった。あの女はいろんな男にあれやこれや色目を使って誘ってくるようなアバズレだった。恋人のお前に隠れて俺を誘ってくるような女だった」
「何を言ってるんだ?違う!彼女はそんな人間じゃない!彼女は慈悲深くて貞淑で・・・・・・」
「慈悲深い!貞淑!あはははは!マリアみたいだったか!?」

全員が訝しげにモーリスに注目した。
狂ったような笑い声だった。

「あの女がお前に妊娠を告げなかった本当の理由を教えてやろう!誰の子かわからなかったからさ!」
「・・・・・・なんだって・・・・・・?」
「泣いて抵抗するあの女の腹の中に一発ぶち込んでやった時の興奮は何十年経っても忘れられないよ!マリアを犯すなんて、最高の背徳だよなあ!脅えたあの表情、思い出しただけで興奮するぜ!」
「何を言ってるんだ・・・・・・?」
「最後まで神に祈り続けていたけど、誰も助けにこなかったなぁ。あはははは!かわいそうに!!」

フレッドは表情を歪めて叫び声を上げると、渾身の力を込めてモーリスを殴った。

モーリスは笑うのを止めなかった。

「あーははは!!産まれるまで、さぞかし冷や冷やしただろうな!目の色を見て安心したんじゃないか!?」

フレデリクはモーリスの襟を掴んで引き寄せた。

「なぜだ・・・・・!なぜだ!モーリス!!」

モーリスは血の混じった唾をフレデリクに向かって吐きだした。
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