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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
二人は見つめあいながら涙を流した。
生前、母が良く口にしていた言葉だ。
母は諸悪の根源を、赦せと言っているのだ。

しかし・・・・・・。

玲央は静かに首を横に振った。

「俺には・・・・・・出来ない・・・・・・・。死んだ方がマシだ・・・・・・・」
「玲央・・・・・・」

玲央の憎しみと怒りは、母の言葉を受け入れられる隙間もなく溢れ出てしまっていた。

‘こいつを殺して俺も死ぬ‘という玲央の思考にレイアも支配されそうになる。

二人の様子を見ていた征哉と俊が、ほぼ同時に二人の腕を掴んだ。

「馬鹿なこと考えるなよ!」

征哉が二人に渇を入れる様に怒声を上げた。

「友子さんとこれからも家族でいたいんだろ!?」

俊に言われてハッとする。

友子の顔が思い出されて、胸がぎゅううっと締め付けられる。
今ここで、玲央と自分が過ちを犯してしまったら、友子はどうなる?
今日、この日を友子が笑顔で送り出してくれたのは、そんなことのためじゃない。
レイアは玲央を抱きしめた。

「玲央・・・・・・・・」

真奈と友子、二人の母を想って咽び泣いた。

友子を生かすために自分たちを託した真奈。

真奈の想いを汲んで自分たちを愛し育ててくれた友子。

自分たちの存在こそが、二人の愛の証なのだ。
二人の繋がりを、自分たちが壊すわけにはいかない・・・・・・・。

レイアは腕の力を緩めて、玲央の瞳を覗きこんだ。

「玲央・・・・・・・。私たちが壊れたらだめなんだよ。わかるよね?」
「・・・・・・・・・・」
「この人たちを赦そう・・・・・・。今すぐは無理だけど、いつか赦せるようになろう?今私たちが怒りに負けたら、あいつの勝ちになっちゃう。お母さんがずっと守ってきたものが台無しになっちゃう」

レイアと玲央は涙に濡れたお互いの瞳の奥の奥を見つめあった。

モーリスが一番望んでいたことは、母が精神的に屈することだったに違いないのだ。
崇高な人間など存在しない。それを証明してやるというのがモーリスの狙いだったのだ。

母が自分や自分の子たちの生活を犠牲にしてまで、父と、父の妻と娘の幸せを願ったのだとしたら、その気持ちを自分たちも守っていかなくてはいけない。

今ここで彼女たちの幸せを奪ってしまったら、母や自分たち、友子が耐えてきた日々が意味のないものになってしまう。
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