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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
それでも・・・・・・。

それでも、赦せないというなら、玲央だけに辛い想いなんかさせない。
壊れるなら、二人一緒だ。
玲央が地獄に堕ちるなら、自分も一緒に堕ちるまでだ。

レイアは強い覚悟を持って玲央を見つめた。
玲央の瞳から、ふ・・・・・と鋭さが消えた。

「お前を道連れに出来るわけないだろ・・・・・・・」

玲央の心の葛藤が手に取るようにわかる。
玲央はもし一人で産まれてきていたら、もっとずっと前に壊していたに違いない。

レイアが一緒だったから、産まれてこなければよかったと言えない。
レイアが一緒だったから、この世のとどまることが出来た。

レイアは再び玲央を強く抱きしめた。

いつも私の盾になってくれた玲央・・・・・・。
私が暢気に生きてこられたのは、玲央が負の要素を背負ってくれていたからだ・・・・・・。

父への憎しみで自分を鼓舞してきたと、玲央は言った。
でも、多分それだけじゃない。
それだけだったら、あんなに必死になってスウェーデン語を勉強したりしない。

玲央は、父を憎みながら、一方で欲してもいたのだ。
これ以上、憎しみを糧にする人生を送らせてはいけない。

「玲央、もう終わりにしよ・・・・・・。これからは、友子さんとの幸せを考えて生きていこう。お母さんの言う通りだよ。友子さんと私たちのために、赦したほうがいいんだよ・・・・・」

玲央はレイアを抱きしめて声を殺して泣いた。
美しく、清らかだったゆえに、善だけでなく悪をも呼び寄せてしまった母。
それでも、母は最期まで屈しなかった。自分の信念を貫き通した。
母を誇りに想う気持ちで胸が温かくなる。

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