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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
「・・・・・・母さんて、不器用だったよな」


玲央がポツリと言った。
玲央が突然そんなことを言うのでレイアは面食らった。

「え?」
「内職のさ、ブローチ造るの下手くそだったじゃん。子どもの俺らの方がずっと上手く造ったよな」
「・・・・・・うん。そういえばそうだったね。でも、そういうところも可愛かったよね」
「・・・・・・・もっとラクな生き方選べただろうにな・・・・・・」

玲央の目を見る。穏やかないつもの玲央の瞳だった。
レイアはホッとして、また涙を流した。

「そうだね。でも、やっぱりそんなお母さんが好きだよ」
「ああ・・・・・」
「お母さんの子で良かったよ。玲央と一緒に、お母さんから産まれてこれて良かった」
「うん・・・・・・・」


無言で玲央の手を取る。
玲央も同じことを感じていることがわかる。

二人はフレデリクの前まで歩み寄り、背中に手をあてた。

レイアはスウェーデン語で語りかけた。

「母は、あなた達のことを許しています。どうか、もう泣かないでください」

レイアの言葉にフレデリクは驚いて目を見開いた。

「真奈が・・・・・許している?私を?」

玲央とレイアのまっすぐな眼差しを見て、フレデリクは戸惑いながらもそうか・・・・・と頷いた。

レイアは打ちひしがれている父を穏やかな気持ちで見つめることができた。

この人と母と、四人で暮らすという人生が、もしかしたらあったかもしれない・・・・・。

もしそうであったら、きっと温かな家庭だっただろう。
レイアは素直にそう思えた。

フレデリクは立ち上がると、レイアに視線を向けた。

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