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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
「・・・・・・君と約束するまでもなく、私は真奈のところには行けない。最後の審判で下される判決は、真奈がいる場所ではないだろう」
フレデリクが淀みのない声で言った。おそらくこのセリフを前もって用意していたに違いない。
『あなたがいつかこの世を去った時、天国にいる母を探さないでください』
これがレイアの出した条件だった。
死の瞬間、母が誰を想っていたのかは本人にしかわからない。
でも、もし、それが父だったら・・・・・・。
天国では父と一緒になりたいと考えて永遠の眠りについたのだとしたら・・・・・。
友子があまりにかわいそうだ。
レイアは友子を想ってそんな条件を付けたのだった。
馬鹿にされてもいい。それが心からの願いだったからだ。
でも今は、やっぱり的外れだったかなと思う。
おそらく母は、そういう次元で死を迎えてはいないのだ。
母の信仰がどのようなものだったかは詳しく知らない。
でも、きっと、全ての人の幸せを祈って安らぎの世界へと旅立ったのではないかと思う。
「・・・・・あなたは、今のあなたの家族を大切にしてください。私たちは、私たちの家族を大切にします。それが私の望みです」
「わかった・・・・・・。約束するよ」
次に玲央に視線を向けた。
「君の怒りは当然だ。私を許す必要はない。父親としての名誉を取り戻したいなどとは思っていない。ただ、君たちに謝りたかった。今まで父親らしいことを何もせずにすまなかった・・・・・・」
「僕の怒りはまだ治まりません。フラストレーションが溜まったら、また殴りに行きます」
玲央の‘また’という言葉にフレデリクは驚いたあと、涙を一筋流した。
「ああ・・・・・・。いつでも来てくれ」
玲央とレイアは立ちあがって、征哉と俊に目配せした。
終わったのだ。
「さて、こいつはどうする?」
征哉がモーリスの襟を掴んで言った。気を失っているようで、グラリと頭が揺れた。
レイアは見るのも触れるのもおぞましく、早く目の前から消えて欲しいと思った。
玲央がレイアの代わりに言った。
フレデリクが淀みのない声で言った。おそらくこのセリフを前もって用意していたに違いない。
『あなたがいつかこの世を去った時、天国にいる母を探さないでください』
これがレイアの出した条件だった。
死の瞬間、母が誰を想っていたのかは本人にしかわからない。
でも、もし、それが父だったら・・・・・・。
天国では父と一緒になりたいと考えて永遠の眠りについたのだとしたら・・・・・。
友子があまりにかわいそうだ。
レイアは友子を想ってそんな条件を付けたのだった。
馬鹿にされてもいい。それが心からの願いだったからだ。
でも今は、やっぱり的外れだったかなと思う。
おそらく母は、そういう次元で死を迎えてはいないのだ。
母の信仰がどのようなものだったかは詳しく知らない。
でも、きっと、全ての人の幸せを祈って安らぎの世界へと旅立ったのではないかと思う。
「・・・・・あなたは、今のあなたの家族を大切にしてください。私たちは、私たちの家族を大切にします。それが私の望みです」
「わかった・・・・・・。約束するよ」
次に玲央に視線を向けた。
「君の怒りは当然だ。私を許す必要はない。父親としての名誉を取り戻したいなどとは思っていない。ただ、君たちに謝りたかった。今まで父親らしいことを何もせずにすまなかった・・・・・・」
「僕の怒りはまだ治まりません。フラストレーションが溜まったら、また殴りに行きます」
玲央の‘また’という言葉にフレデリクは驚いたあと、涙を一筋流した。
「ああ・・・・・・。いつでも来てくれ」
玲央とレイアは立ちあがって、征哉と俊に目配せした。
終わったのだ。
「さて、こいつはどうする?」
征哉がモーリスの襟を掴んで言った。気を失っているようで、グラリと頭が揺れた。
レイアは見るのも触れるのもおぞましく、早く目の前から消えて欲しいと思った。
玲央がレイアの代わりに言った。