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月夜の迷子たち
第13章 暗闇を照らす光
「そもそも塔の中に女の子を閉じ込めるっていう発想がおかしいわよね」
「その時代は女性は家にいるべき、男と交わらず清らかでいるべきという思想の社会だったからな。それを象徴したような話ではあるな。彼女を誘惑に負けた堕落した女と取るか、死よりもしがらみからの解放を選んだ勇気ある者と取るか。画家の創作意欲が湧くモチーフだったようで、様々な画家が描いているよ」
「そうなんだ。紗奈ちゃんも知ってるかな?」
「いくつか模写していたから知ってるだろうな」

レイアはふーんと言って湖の水を眺めた。

「オフィーリアも、その・・・・・シャーロット?もだけど、若い女の子が死んでいく姿を描くのが流行っていたのかしら」
「確かに、言われてみると、オフィーリアもシャーロットも『若い女』、『実らない愛』、『死』という共通点があるな」
「‘清らか’・・・・かぁ・・・・・・」

レイアが何を考えているか俊にはわかった。
母のことを思い出しているのだ。
清らかさ故に、それを求める男たちに翻弄されてしまった女性。

レイアの母もまた、しがらみのある家から外に出たいと思っていただろうか・・・・・・。

「俊は‘ずっと塔の中にいた方がいいに決まってる‘って言いそう」

俊は小さく笑った。祐哉と同じことを言ったからだ。

「以前ならそう言っただろうな。でも、今は彼女の気持ちがわかる。自分でもどうしようもない感情があることを・・・・・・今なら理解できる」
「私の姿が見たいと思って追いかける?」
「ああ」
「咄嗟に?もう、何もかも投げ捨てて?」
「何もかも捨てて、追いかけるよ」

レイアは嬉しそうに微笑んだ。
明るい日差しの中で微笑むレイアはまさに女神のようだった。

レイアは突然立ち上がり俊の方に歩いてきた。
船がグラグラと揺れる。
俊は慌ててレイアの身体を支えて、ゆっくりと隣に座らせた。

レイアが腕を組んでぴったりと身体を寄せる。

「ここでは思い切りくっついていいよね?」

そう言って俊の肩にもたれかかった。

「ああ。いいよ」

俊はボートを漕ぐのをやめて湖を見渡した。

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