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月夜の迷子たち
第13章 暗闇を照らす光
「・・・・・・・帰ったら、君のお母さんにご挨拶に行こうと思う」
「・・・・・・結婚の?」
「結婚もそうだけど・・・・・・。一緒に暮らしてくれますかって」
「え?」
「少しでも早く君と一緒に暮らしたいと思ってる。君のお母さんが退院したら、一緒に暮らすことになるだろうから、その許可をもらいに」
「・・・・・・・中園のお家、出てもいいの?」
「元々出るつもりだったんだ。あまり遠くなければ問題ない。夜中にかけつけたりすることがあるかもしれないが・・・・・・君は?いい?」
「もちろん!嬉しい!!」

レイアは俊の頬に何度もキスした。

「・・・・・・君のお母さんはすごいな」
「うん?」
「君と一緒にお見舞いに行っただろ?あの時に言われたんだ。『次は‘別の事’で挨拶に来ると思うわ』って。あの時は君と・・・・・・恋人になれるなんて考えていなかったから、まさかと思ったけど」

レイアはあの時、病室で友子が俊に耳打ちしていたことを思い出した。

「あの時、そんなこと言ってたの?」

レイアは心底驚いた。あの時はレイア自身も俊への想いに気づいてなかったというのに。
確かにすごい人だとレイアは頷いた。

「なんていうか・・・・・君のこと、よくわかってるんだな」
「うん・・・・・・・」

レイアは俊と友子と三人での暮らしに想いを馳せた。
東京に帰る寂しさがどこかへ消え、新しい生活が楽しみになっていた。

「ウキウキしてきた!!でも、今のマンション、三人だと狭いよ。どこか別の所に引っ越す?中園のお家に近い方がいいよね」
「いや、まだ君のお母さんに許可を・・・・・・」
「子どものこと考えたら、やっぱり広いお家がいいよね!思い切って家、建てようか!」
「いや、中園の近くで家建てるって、いくらかかるか・・・・・・」
「私、子どもは沢山欲しい!『もう!一人にさせて!』っていうぐらい、毎日騒がしい生活がしたい!」
「・・・・・・・・・・」

レイアは新しい生活を夢見て声を弾ませた。
ふと見ると俊が頭を抱えている。

「どうしたの?」
「いや・・・・・・君の夢を叶えるための予算案を・・・・・・・。ちなみに、子どもは何人欲しいの?」
「5人!」
「ごにん・・・・・・・・」

俊が固まって動かなくなってしまった。きっと頭の中で真面目に計算しているのだろうと思ってレイアは笑った。
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