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月夜の迷子たち
第13章 暗闇を照らす光
レイアは箱を開けた。母の大事にしていたアメジストの指輪だった。

「これ・・・・・・・!」
「玲央のお嫁さんでもいいけどね。まあ、そこは二人で話し合って決めて」
「お母さんのお葬式の時に燃えたんじゃないの!?」
「私も一緒に入れるつもりだったのよ。でもね、指輪って、棺に入れちゃいけないんですって。直前で注意されてね。あの子、指輪のことは何も言わなかったのよね。捨ててとか返しておいてとか何も。どうしたらいいか私には決められなかったから、レイアたちが大人になったら渡せばいいかって思って、預かってたのよ」

レイアは指輪を初めて手に取った。
裏にある紋章とメッセージを確認する。

父に返した方がいいのではないか・・・・・・・。

「あなた達が持っていて、いいんじゃない?先方も、きっとそうして欲しいと思っているはずよ」

レイアが何を考えているのか、友子にはわかったみたいだ。

「うん・・・・・・・」

レイアは指輪をまじまじと見つめた。
指輪から、父の愛が溢れている気がするから不思議だ。
玲央にも早く見せてあげたい。
友子の電話が鳴った。南からだった。
はい、行きますと短く答えてすぐに電話を切る。

「車でお迎えですか。お姫様扱いでいいですね」
「いいでしょ」
「南さん、友子さんのことすっごく甘やかしそう」
「たくさん甘やかしたいんですって」

友子が自慢気に言った。

「はいはい。惚気はいいから、早く行ってあげて」

友子を玄関まで送る。
細い背中を見てレイアは思わず抱きしめた。

「・・・・・・幸せになってね」

友子がレイアの腕をポンポンと叩いた。

「もう十分幸せよ。あなたたちの幸せが、私の幸せ。昔も、今も、これからも」

レイアは目が滲んだ瞳を友子の肩に押し付けた。

「・・・・・・ねえ、オフィーリア。見に行こうね」
「そうね。みんなで行きましょうか」
「そうだよ。俊と南さんも一緒に行こう」
「いいわね。楽しそう」

友子の嬉しそうな声を聞いて、レイアは安らぎと寂しさを感じた。
友子もまた、次のステップに進んだのだ。
自分も友子から卒業する時が来たのだと実感する。

(それでも、いつまでも私のお母さんだからね・・・・・・・)

レイアは想いを込めて抱きしめた後、恋する母の背中を見送った。

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