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月夜の迷子たち
第13章 暗闇を照らす光
その日の、夕暮れ時。

レイアは母の墓参りに来ていた。
俊と玲央も一緒だった。

三色菫、雛菊に撫子、勿忘草、パンジー。
レイアは母にあの時、玲央を止めに来てくれてありがとうと心の中で唱えた。

「しっかし・・・・・・。友子さんも人が悪いよなぁ。指輪、棺に入れてなかったなんてさ」

玲央が不貞腐れて言った。

「でも知ってたら、どこかに売ったり捨てたりしてたんじゃないの?」
「お前じゃあるまいし、そんなことしないよ」
「私だってしないよ!」

レイアは母の墓の前に置いた指輪を見下ろした。

「・・・・・・指輪、どうしようかな」

レイアがぽつりと呟いた。
玲央が箱を取り上げてレイアに渡した。

「どうしようも何も、お前が持ってたらいいだろ。俺はつけられないし」
「玲央だっていつか渡したい相手がみつかるかもしれないじゃない」
「いらないよ」
「あの人に返した方が良かったりしない?」
「良かったりしない。レイアが着けるのが一番自然だって」

レイアは黙りこくった。
征哉の話では、この指輪は相当高価なもののようだ。
そんなものを持っていていいのかと恐縮してしまう。

「そうよ。あなたが持っているべきだわ」

背後から声がして、レイアたちは一斉に振り向いた。

「奥様・・・・・・・」

俊が驚いた声を上げた。
白いシルクのトップスにベージュのタイトスカートと、黒い帽子という、落ち着いた服装の澄子が立っていた。

「はじめまして。中園澄子です。征哉と祐哉の母です」

レイアと玲央は同時にはじめましてと挨拶した。
澄子はレイアに握手を求め、次に玲央と握手した。

「奥様、どうしてここに・・・・・・」

大きな白百合の花束を持つ澄子に、俊が姿勢を正して近寄る。腕にかけていたバッグを受け取った。
澄子は花束を墓の前に置いた。

「征哉に聞いたのよ。真奈さんにご挨拶したくてね」

そう言うと目を瞑って黙祷した。

レイアと玲央は初めて会う澄子に緊張していた。
自分たちのせいで祐哉と紗奈に迷惑をかけてしまった。
澄子に謝罪しなくてはとタイミングを計る。

澄子はじっと動かずに目を瞑っていたが、小さく息を吐くと、ゆっくり目を開いて言った。

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