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月夜の迷子たち
第2章 再会
どれぐらい時間が経ったのか。気がついた時には外はもう真っ暗だった。
いつも以上に丁寧にスケッチしていたことに、終わってから気がつく。
集中しているとつい視野が狭くなる。紗奈は立ち上がって遠めでキャンバスを眺めた。
「すごいね。ほんとに聞こえなくなるんだな」
「!」
突然背後から声がして、紗奈は飛び上がるほど驚いた。
振り向くと祐哉が窓辺に立っていた。
杖はもうついていなかった。ようやく足は回復したようだった。
「ごめん、勝手に入って。って、一応声かけたけど」
紗奈はどきどきする胸のあたりを押さえた。
「い、いえ・・・・・」
「下書きしてたんだよね?」
「ええ」
「簡単に手順教えてくれる?」
紗奈はなんとか落ち着きを取り戻して、複製画の基本的な描き方を説明した。
「ええと、まずは、こうして補助線を・・・・」
補助線によって区切られたマス目ごとに対比して書き込んでいく。
マス目が細かすぎても大きすぎてもよくない。
紗奈は感覚的にそれを察知して区切るので、具体的にどういう基準で線を引いてるかと問われると答えに悩んでしまうのだが。
画家によって筆の運び方、勢いのつけ方が違うが、紗奈にはそれらを読み取れる能力があった。ここで迷ったかな、とか、修正したな、などなんとなくわかるのだった。
「まるで画家が憑依しているみたいだね」
祐哉は感嘆のため息をついた。
紗奈は小さく頷いた。
「すごく集中している時は、そう感じる時もあります」
「ねえ、敬語はやめてよ。話しにくいから。雇い主だから、とか気にしないで大丈夫」
「・・・・・わかったわ」
すこし休憩したら、と祐哉がコーヒーを淹れてくれた。
紗奈は少し距離を保って、ソファに座る祐哉の隣に座った。
「絵は美術の学校で学んだの?」
「ううん・・・美大や専門学校には行ってなくて・・・・」
いつも以上に丁寧にスケッチしていたことに、終わってから気がつく。
集中しているとつい視野が狭くなる。紗奈は立ち上がって遠めでキャンバスを眺めた。
「すごいね。ほんとに聞こえなくなるんだな」
「!」
突然背後から声がして、紗奈は飛び上がるほど驚いた。
振り向くと祐哉が窓辺に立っていた。
杖はもうついていなかった。ようやく足は回復したようだった。
「ごめん、勝手に入って。って、一応声かけたけど」
紗奈はどきどきする胸のあたりを押さえた。
「い、いえ・・・・・」
「下書きしてたんだよね?」
「ええ」
「簡単に手順教えてくれる?」
紗奈はなんとか落ち着きを取り戻して、複製画の基本的な描き方を説明した。
「ええと、まずは、こうして補助線を・・・・」
補助線によって区切られたマス目ごとに対比して書き込んでいく。
マス目が細かすぎても大きすぎてもよくない。
紗奈は感覚的にそれを察知して区切るので、具体的にどういう基準で線を引いてるかと問われると答えに悩んでしまうのだが。
画家によって筆の運び方、勢いのつけ方が違うが、紗奈にはそれらを読み取れる能力があった。ここで迷ったかな、とか、修正したな、などなんとなくわかるのだった。
「まるで画家が憑依しているみたいだね」
祐哉は感嘆のため息をついた。
紗奈は小さく頷いた。
「すごく集中している時は、そう感じる時もあります」
「ねえ、敬語はやめてよ。話しにくいから。雇い主だから、とか気にしないで大丈夫」
「・・・・・わかったわ」
すこし休憩したら、と祐哉がコーヒーを淹れてくれた。
紗奈は少し距離を保って、ソファに座る祐哉の隣に座った。
「絵は美術の学校で学んだの?」
「ううん・・・美大や専門学校には行ってなくて・・・・」