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月夜の迷子たち
第3章 閉じられた扉
「電話に出ないなら、今すぐこちらへお越しになるとおっしゃっておりまして・・・」

征哉はチッ!と舌打ちして歩みを止めた。

「僕はこの二人に一緒に風呂に入ろうって誘われたんだ。このチャンス逃すわけにいかない」

紗奈は違うと慌てて首を横に振った。
藤原が能面のような顔で征哉を見つめた。

「征哉くん、また今度にしよ!ね!」

征哉の肩をレイアがポンと叩く。

「・・・・言っておくけど、僕の場合の”また今度”は必ず決行されるからな!覚えておけよ!」

はいはい、とレイアは征哉の背中を落ち着かせるようになでた。

征哉はがっくりと肩を落としてとぼとぼと去っていった。

レイアが笑った。

「あの人面白いよねぇ。さ、行こう!」

そう言って再び紗奈の手を引いて歩き出した。

レイアは紗奈がいつも使わせてもらっているバスルームとは違う場所へ連れていった。

大きな大浴場で、広い脱衣所はアジアンテイストの家具で揃えられ、ゆっくり休憩しながらお風呂に入れるよう、簡易ベッドやソファ、ウォーターサーバーが置いてあった。

浴室は古代ローマのイメージでデザインされていて、天井は開閉式になっていて、青空が見えた。

紗奈はこんなお風呂が自宅にあるなんて…と、改めて中園家の財力に絶句した。

「ここが一番大きくてのんびりできるのよね」

レイアが躊躇なく服を脱いでいく。
あっという間に裸になってしまった。
白く柔らかそうな肌は肘や膝がうっすら桃色に染まって見え、細くくびれたウェストから続く女性らしい丸みを帯びた腰、小さく引き締まったお尻、形の良いハリのある胸・・・・。窓から差し込む日差しがレイアの裸体を優しく包み、ブーシェの絵のように柔らかな印象を与える。

紗奈はスケッチしたい衝動にかられた。

レイアが浴室に行ってしまったので、紗奈は慌てて自分も服を脱いだ。

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