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月夜の迷子たち
第3章 閉じられた扉
「あー気持ちいい!」

紗奈がおずおずと浴室に入ると、レイアは浴槽のなかで大の字に身体を伸ばしていた。

紗奈は身体を丁寧に洗ってからレイアの横に並ぶようにして湯につかった。
先ほどから思っている疑問を口にする。

「レイアちゃん、このお屋敷のこと詳しいのね。ここの人と知り合いなの?」
「うん。さっきお茶してた人たち、私がバイトしてるテニスクラブの会員でね。そこから仲良くなって、テニスの後お茶に誘われるようになったの。三ヶ月くらいかな?ここに来るようになってから。征哉くんも別のクラブにいたんだけど、うちのクラブの会員になってくれて。コーチより上手かったから笑っちゃった」

レイアの屈託の無い笑顔は人を幸せな気持ちにさせる。見ていてついつられて微笑んでしまうのだ。
レイアは日本人の母とスウェーデン人の父の間に生まれたと聞いたことがある。
そして双子の弟がいた。

「レイアちゃん、弟さんは?」
「玲央?今ね、イギリスに留学してるよ。あいつ、楽しいみたいで全っ然帰ってこないの!でも、多分元気にしてると思う」

一度学園祭の時に弟の玲央が学校に来た時は、まさに騒然となったことを紗奈は思い出した。
美しい双子の姉弟を、教師までもがうっとりと見惚れていた。皆勝手に写真を撮るのだが、二人は慣れているのか、まわりには目もくれず淡々と学内をまわっていた。

「紗奈っち、画家になったんだね。すごい絵上手だったもんね」
「画家って言っていいのか・・・・。基本、複製画しか売ってないから」
「立派な画家だよ!すごいよ、自分の特技で食べていけるなんて、尊敬しちゃう」

言われて紗奈はうつむいた。

「全然すごくないよ。私にはそれしかなかったから」
「ううん。やっぱりすごい。それしかないって思えるものがあるんだもん。うらやましい」

レイアにうらやましいと言われて紗奈はさすがに驚いた。
こんなにも美しい女性が、その存在だけで十分価値があると思わせる女性が、自分をうらやましいなどと言うとは。

「レイアちゃんなら、その・・・・モデルさんとか、絶対なれると思う」
「うーん、友子さんがねえ。嫌がるからねえ」

友子とはレイアと玲央の育ての親だったと記憶している。

レイアは幼い頃に母を亡くしていた。父親は会ったこともないと言っていた。
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