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月夜の迷子たち
第3章 閉じられた扉
祐哉はそう言って紗奈を立ち上がらせると、廊下を歩き出した。

「今すぐ俺の部屋に連れていきたいと言ったら、どうする?」

食堂に行くと思っていた紗奈は驚いて立ち止まった。
そんな紗奈を見てクスクスと笑う。

「うそだよ」

征哉といい、この家の男の人というのは、こういった冗談が日常的なのだろうか。
紗奈が眉を寄せて険しい表情をしているのを見て祐哉は慌てて謝罪した。

「ほんとごめん。ちょっと意地悪言ってみたかっただけ。でも、こんなこと冗談でも今まで誰かに言ったことないよ」

紗奈の手を引いて歩き出す。
こんなことをして家の人に見られたらどうするのだろうか・・・・・。

紗奈の心配をよそに祐哉は手を離すつもりはないとしっかり紗奈の手を掴んでいた。

食堂の扉の前で立ち止まる。
祐哉はすぐに扉を開けなかった。紗奈はどうしたのかと祐哉を見上げた。

「ここ何日か忙しくて・・・・君に会えなくて辛かった」

紗奈の方に身体を向けて、祐哉は尋ねた。

「君は?・・・・俺に会いたいと、少しでも思ってくれた?」

何度も思い出していた祐哉の優しい瞳が間近に見えて、紗奈は息を呑んだ。

「絵に夢中で、それどころじゃなかったかな」

祐哉の声が少し残念そうに聞こえて、紗奈は小さく首を横に振った。

こんなことを口にしていいのだろうか・・・・。
紗奈の心は大いに乱れた。

しかし、祐哉ははっきりと会えなくて辛かったと言ってくれた。
自分も同じだったと、伝えたいという欲求から逃れられなかった。

「私も・・・・会いたかった・・・・」

消え入るような小さい声で答えた。

祐哉は嬉しそうに微笑むと、握っていた紗奈の指を持ちあげて、口付けした。

「!」

指先に祐哉の柔らかい唇が触れて、声をあげてしまいそうになった。

「君が俺のことを想ってる以上に・・・・何倍も強く俺が君を想ってるってこと覚えておいて」

切なげに囁くと、ゆっくりと食堂の扉を開いた。
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