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月夜の迷子たち
第3章 閉じられた扉
「秘書ねえ・・・・。女の子だとすぐに”私のこと、なんだと思ってるんですかっ!?”・・・とか、”この前のアレはどういうつもりでしたんですかっ!?”・・・・とか面倒なこと言ってくるしさぁ」

征哉がわざとらしく体をくねくねさせて声を裏返しにして台詞を言うので、紗奈は噴出しそうになるのを一生懸命堪えた。

「男にすると”征哉さんには、僕は必要ないと思います”・・・とか言ってシュンとしてすぐ辞めちゃうし・・・・」
「女性の秘書には手を出さない、男性の秘書にはある程度仕事を任せる、で解決します」

征哉はリンゴをすっかり食べ終わって、皿の上に芯を載せた。

「そもそも秘書なんていらないよ。全部自分で把握してるし、少しでもモタモタしてるの見るとイライラしちゃうから。それに可愛くて若い子がずっとそばにいたら、手出さない方が無理だよね!?ピチピチよ?おっぱいとか寄せてすんごいアピールしてきたりすんだよ?」

皆に同意を求めるが、誰も賛同しなかった。

「征哉くんは、敵は倒せても、真の勇者にはなれなさそうね」

レイアが笑って言うと、紗奈も祐哉もつられて笑った。

なんだよ~みんなで馬鹿にして~と征哉がふてくされる。

紗奈はこんなに賑やかな食事は何年ぶりだろうと微笑ましく皆を眺めた。
いつも一人でパンをかじって済ませる食事の味気なさを思い出す。
皆と食べる食事は、楽しく、美味しかった。

空腹が満たされ、暖かな雰囲気に、身体がほんのり熱くなってくる。

まともに寝てなかったせいで、猛烈な眠気に襲われた。
起きていなきゃと思えば思うほど、抗うことは出来なかった。

みんなの声が徐々に遠くなると、テーブルに倒れるように眠ってしまった。
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