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月夜の迷子たち
第3章 閉じられた扉
白いワンピースを着たレイアが、色とりどりの花を抱えているというシーンだったのだが、見惚れてしまって筆がすすまない生徒が続出した。
紗奈はそんな中、特別大げさに美しさを強調するわけでもなく、普段通りのレイアの姿を描いた。高校生の絵画コンクールで賞をもらった。
その絵は今も学校に飾られている。
「もちろん覚えてるよ!紗奈っちの絵、賞もらったよね。すごく上手に描いてくれて嬉しかったなぁ」
レイアは椅子に座ると、あっという間に自分の分のサンドウィッチを食べてしまった。
昨日の夜も、誰よりも夕食を食べていたレイアを見て、あんなに沢山食べて、どうやったらこの体型が維持できるのだろうと紗奈は不思議に思った。
「あのね、また・・・・時間ある時でいいんだけど、レイアちゃんをスケッチさせてくれない?」
「もちろん!大歓迎だよ!」
二人が微笑み合っているいると、ノックの音が聞こえドアが開いた。
そこにはあの時、祐哉を探しに紗奈の家にきた瑠花という少女が立っていた。
グリーンと黒のワンピースを着て、同色の帽子をかぶっており、彼女の黒い艶やかな髪によく似合っていた。
「・・・・・・・!」
あの時よりはずっと落ち着いていた様子で紗奈に近づいてきた。
気品漂う両家のお嬢様といった雰囲気だ。
「あの時はどうもお世話になりました」
丁寧にお辞儀をされ、紗奈も慌てて頭を下げる。
「まさかこうしてもう一度お会いできるとは思ってもみませんでしたわ。絵をお描きになる方なんですってね」
「はい・・・・。今回・・・・祐哉さんの自画像を描くお仕事をいただきました」
「祐哉は優しいから・・・・・。あなたに助けていただいて、何かお礼がしたかったのでしょうね」
とても落ち着いた優しい口調の裏側に、明らかな敵意を感じる。
「私、祐哉さんの婚約者の大柳瑠花と申します。素敵な肖像画にしてくださいね。私が正式にこの家の人間になった暁には、私の肖像画もぜひお願いします」
’婚約者’という言葉に紗奈は思わず反応して、落としていた視線を瑠花に向けた。
瑠花は優しく微笑んでいた。
紗奈はそんな中、特別大げさに美しさを強調するわけでもなく、普段通りのレイアの姿を描いた。高校生の絵画コンクールで賞をもらった。
その絵は今も学校に飾られている。
「もちろん覚えてるよ!紗奈っちの絵、賞もらったよね。すごく上手に描いてくれて嬉しかったなぁ」
レイアは椅子に座ると、あっという間に自分の分のサンドウィッチを食べてしまった。
昨日の夜も、誰よりも夕食を食べていたレイアを見て、あんなに沢山食べて、どうやったらこの体型が維持できるのだろうと紗奈は不思議に思った。
「あのね、また・・・・時間ある時でいいんだけど、レイアちゃんをスケッチさせてくれない?」
「もちろん!大歓迎だよ!」
二人が微笑み合っているいると、ノックの音が聞こえドアが開いた。
そこにはあの時、祐哉を探しに紗奈の家にきた瑠花という少女が立っていた。
グリーンと黒のワンピースを着て、同色の帽子をかぶっており、彼女の黒い艶やかな髪によく似合っていた。
「・・・・・・・!」
あの時よりはずっと落ち着いていた様子で紗奈に近づいてきた。
気品漂う両家のお嬢様といった雰囲気だ。
「あの時はどうもお世話になりました」
丁寧にお辞儀をされ、紗奈も慌てて頭を下げる。
「まさかこうしてもう一度お会いできるとは思ってもみませんでしたわ。絵をお描きになる方なんですってね」
「はい・・・・。今回・・・・祐哉さんの自画像を描くお仕事をいただきました」
「祐哉は優しいから・・・・・。あなたに助けていただいて、何かお礼がしたかったのでしょうね」
とても落ち着いた優しい口調の裏側に、明らかな敵意を感じる。
「私、祐哉さんの婚約者の大柳瑠花と申します。素敵な肖像画にしてくださいね。私が正式にこの家の人間になった暁には、私の肖像画もぜひお願いします」
’婚約者’という言葉に紗奈は思わず反応して、落としていた視線を瑠花に向けた。
瑠花は優しく微笑んでいた。