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月夜の迷子たち
第4章 月下の迷子の手
祐哉は何も言わず紗奈の隣りに座った。

「・・・・・・・」

何も言わずに慣れた手つきで鍵盤に指を置くと、『月の光』を弾き始める。

紗奈も何も言わず、その音色に静かに耳を傾けた。

祐哉の男らしい指が鍵盤上を滑らかに動く様子が綺麗で魅入ってしまう。
月の光を浴びてピアノを弾く祐哉は、まさに絵画的に美しかった。

祐哉の指が止まり、曲の終わりを告げる。

「すごい・・・・・・・上手ね」
「久しぶりに弾いたから、思うように指が動かないな」

祐哉が微かに微笑んだ。

沈黙が続き、空気が重たく感じた。
祐哉がこちらも見ることもなく、話しかけもしないので、紗奈も黙って月を見上げた。
闇が深くなればなるほど、月の輝きが痛いくらいに胸に刺さる。

「月が綺麗・・・・」

紗奈は思わずポツリと呟いた。

祐哉がふ・・・・・・と笑った。

「漱石が”I LOVE YOU ”を”月が綺麗ですね”と訳したなんて言われてるけど・・・・」

祐哉に言われて紗奈もその話を思い出した。そんなつもりはなかったが、愛の告白をしてしまったような気がして恥ずかしさでうつむいた。

「もし・・・・君だったら、なんて訳す?”愛してる”以外で」

祐哉の突然の質問に紗奈はしばし考え込む。

「難しいけど・・・・”絵が描けません”といった感じかしら。その・・・・何も手につかない、みたいな」
「”絵が描けません”・・・・か。確かに、君の場合はそうかもね」
「祐哉さんは?」

紗奈から逆に質問されて、祐哉はようやく紗奈に視線を向けた。

「そうだな・・・・」

潤んだ瞳が月の光を反射して、吸い込まれそうな、何もかも見透かされそうな、悪魔的な美しさだった。
紗奈は思わず息をとめる。目が離せなかった。

「キスがしたくて気が狂いそうです、かな」

祐哉の手が紗奈の首へと伸びるのが目の端に見えた瞬間、あっという間に引き寄せられ、紗奈の唇が祐哉に塞がれた。

「・・・・・・・っ!」

祐哉は紗奈の唇を無理やりこじ開け、舌を差し込む。
紗奈の舌を探り、唇を強く吸った。

「んっ・・・・・!」

祐哉のキスは容赦なかった。逃げようとする紗奈を力を込めて引き寄せ、紗奈の舌を、唇をむさぼった。

「は・・・・ぁ・・・・んんっ!」
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