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月夜の迷子たち
第6章 恋の炎
「玲央、この人ね、変だけど、こう見えてすごく頭いいの。一応フォローしとくけど。一度見たり聞いたりしたら覚えちゃったりするんだって。あ!あと外国語、いっぱい話せるらしいよ!あんたの専門じゃん」

その言葉に興味を持ったのか玲央の瞳がわずかに光った。

「玲央は、語学の勉強・・・・って言っても話す方じゃなくて、歴史?成り立ち?とかを学びにイギリス留学中なんだよ」
「へえ~そうなんだぁ。僕もね、うちのおっさんの西洋コンプレックスに付き合わされてイギリスの学校出たけど、学校生活は楽しかったなぁ。今楽しいでしょ?」
「はい・・・・楽しいです」

玲央は少し恥ずかしそうに答えた。

「征哉くんもイギリス行ってたんだ。いいねえ、お金持ちはパッと外国も行けてさ。玲央は結構苦労したもんね」

まだ警戒している玲央の腕をレイアが掴んで征哉の前に立たせる。

「いいじゃん。自分が行きたくてそのために努力して行った方がよっぽど意味があるよ。僕なんか中学からよ?自分の意思なんか無視されて親に強制的に行かされてさぁ。最初の頃は嫌で嫌で何回逃亡したかわかんないよ。まあ、でもなんだかんだで寮生活楽しくて結局大学までイギリスで過ごしちゃったけど」

征哉がふと真面目な表情になる。

「・・・・・うん?成り立ち?言語学ってこと?」
「・・・・そうです」
「へえ!今は何やってんの?」
「今は・・・・古代教会スラブ語を」
「ワオ!これはまた渋い!古代教会スラブ語の国宝級の資料がうちの書庫にあるよ。あとで見せてあげる」
「・・・・・本当ですか!?」

玲央は身を乗り出して征哉に近寄った。
征哉がにこにこしながら玲央の肩を抱く。

「そういえば最近友人のドイツ人学者が碑文が刻まれた古い碑石を見つけたって言ってたなぁ。そいつを紹介してもいいよ」

玲央が感嘆して征哉を見つめる。

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