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月夜の迷子たち
第6章 恋の炎
ある日レイアといたずらをすることを思いついたのだという。
当時流行っていた爆竹を手に、バス停のベンチでおしゃべりに夢中なそのおばさんに近づいた。
紗奈に話しかけてもらい、おばさんとおしゃべり相手が紗奈に気をとられている間に爆竹に火をつけて帽子の上に乗せた。
「ものすごい音がして、おばさんたちは声にならない声で飛び上がってさ。それだけでも面白かったんだけど、突然レイアが『鉄砲だ!』って言って。もうおばさんたち大慌てでベンチの下にもぐって。身体が大きいからベンチが浮いちゃうの。人生で一番笑ったな」
紗奈もその光景を想像して思わず笑ってしまった。
「それをここにいるご婦人たちにやったらどうなるか・・・・って話してたとこだね」
そう言って絵を指差した。
なるほど、いたずらっ子のように見えたのはそのせいだったのだ。
「怪我とか、大丈夫だったんでしょうか?」
紗奈が尋ねると玲央は肩をすくめた。
「怪我はなかったけど、やっぱりすごい問題になっちゃって。結局俺らはその家出て引っ越してさ。レイアと反省したなぁ。それからもういたずらはやめた。今思うと、なんであんなにあの帽子にむかついてたのかなって思うぐらい、あれが悪に見えたな」
紗奈は幼い双子を頭に思い浮かべる。ほほえましい気持ちになった。
「帽子・・・・育てのお母さんにかぶって欲しかったんですかね」
紗奈の言葉に玲央は軽く頷いて微笑んだ。
「たぶんね」
玲央はスケッチブックを閉じて紗奈に渡すと立ち上がった。
「さて・・・・俺のことを刺しそうな目で見てる人がいるので、この辺で退散するよ」
物騒な言葉のわりに、いつものことだと慣れた様子だった。
「・・・・・?」
「レイアの絵のお礼が言いたかっただけだから。あの時、実の親のことでいろいろあって、レイアも落ち込んでた時期だったんだ。君の絵ですごく元気もらったみたい。自分のこと良くわかってくれてる人がいて嬉しかったんだろうね。ありがとう。応援してます。これからも描き続けて」
そう言って頭を下げると部屋から出ていった。
当時流行っていた爆竹を手に、バス停のベンチでおしゃべりに夢中なそのおばさんに近づいた。
紗奈に話しかけてもらい、おばさんとおしゃべり相手が紗奈に気をとられている間に爆竹に火をつけて帽子の上に乗せた。
「ものすごい音がして、おばさんたちは声にならない声で飛び上がってさ。それだけでも面白かったんだけど、突然レイアが『鉄砲だ!』って言って。もうおばさんたち大慌てでベンチの下にもぐって。身体が大きいからベンチが浮いちゃうの。人生で一番笑ったな」
紗奈もその光景を想像して思わず笑ってしまった。
「それをここにいるご婦人たちにやったらどうなるか・・・・って話してたとこだね」
そう言って絵を指差した。
なるほど、いたずらっ子のように見えたのはそのせいだったのだ。
「怪我とか、大丈夫だったんでしょうか?」
紗奈が尋ねると玲央は肩をすくめた。
「怪我はなかったけど、やっぱりすごい問題になっちゃって。結局俺らはその家出て引っ越してさ。レイアと反省したなぁ。それからもういたずらはやめた。今思うと、なんであんなにあの帽子にむかついてたのかなって思うぐらい、あれが悪に見えたな」
紗奈は幼い双子を頭に思い浮かべる。ほほえましい気持ちになった。
「帽子・・・・育てのお母さんにかぶって欲しかったんですかね」
紗奈の言葉に玲央は軽く頷いて微笑んだ。
「たぶんね」
玲央はスケッチブックを閉じて紗奈に渡すと立ち上がった。
「さて・・・・俺のことを刺しそうな目で見てる人がいるので、この辺で退散するよ」
物騒な言葉のわりに、いつものことだと慣れた様子だった。
「・・・・・?」
「レイアの絵のお礼が言いたかっただけだから。あの時、実の親のことでいろいろあって、レイアも落ち込んでた時期だったんだ。君の絵ですごく元気もらったみたい。自分のこと良くわかってくれてる人がいて嬉しかったんだろうね。ありがとう。応援してます。これからも描き続けて」
そう言って頭を下げると部屋から出ていった。