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贖罪の檻。【煉獄━ レンゴク ━】
第13章 波間の躯
「そうですか。それよりも大変です。」
「なにか変わったことでもあったか?」
「会長がお越しです。」
「会長が?」
「はい。支配人室でお待ちです。」
「判ったありがとう。なにかあったら内線をくれ。」
「はい。」
「(よりにもよって、今日来るなよ。)」
走ってバックヤードの従業員用エレベーターに乗り込みながら少し苛ついた。エレベーター内の鏡で身なりを確認する。
ドアの前で深呼吸をして営業用の顔を作る。
「会長、お待たせしてすみません。」
支配人室に入ると高級イタリアンスーツに身を包み革靴をビシッと決めている年配の男がソファーにドカッと座っている。
にこやかにハキハキと挨拶をする。
「お邪魔しているよ、明莉くん。」
「今日は、どうされましたか?」
明るい返しが来たからと油断できない。