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贖罪の檻。【煉獄━ レンゴク ━】
第13章 波間の躯
それがこの乙女会長なのだ。
「君に〝本社へ来て近況報告してくれ〟と、言っても忙しくて無理そうだったから私が出向いたまでだよ。」
「そうでしたか。お茶をお淹れしましょう。」
「明莉支配人。私が淹れますのでお座り下さい。」
「じゃあ、お願いします。」
会長秘書が忍者のように現れて制止させた。仕方なく向かいのソファーに腰掛ける。
「経営状況は、順調ですよ。イベントが当たりましたね。
従業員の働き方改革も進んでいますので人手不足も解消されています。」
「順調なのは、判っている。仕事の近況ではなく私生活の方を訊きたいのだ。」
「あぁ、そちらですか。問題は、ありませんが。」
そつなく答える。
タヌキに本心を言う気などない。
「妹さんは、どうしているかな?」
「社長から受けた傷が原因で外には、未だに出られませんが家の中で穏やかに暮らしいます。」