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贖罪の檻。【煉獄━ レンゴク ━】
第13章  波間の躯
  


 笑顔を返す。

 会長がなにもかにもの条件を飲んだのは、世間体のため。そして支配人にまでしてくれたのは、単なる口封じ。
 今もこうして逢いに来るのは、監視しているから。

 全部判っている。判ってて乗っかってやってるのだ。
 部下からの信頼厚い俺を辞めさせるなどあの社長には、出来ない。会長もそれを重々承知している。


「では、忙しいのに邪魔したね。」


「いいえ。わざわざ立ち寄って頂きありがとうございました。」


 裏のエントランスから見送った。


「食えないオッサンだな、相変わらず。」


 車が見えなくなるとホテルに戻った。


 》 》


「・・・・・・ら。・・・ゆら。」


「んー・・・」


 懐かしい柔らかな声が耳に届いてモゾッと身体を動かす。


「月良、相変わらずお寝坊だな。」


「ん、・・・っ!!?」


  
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