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贖罪の檻。【煉獄━ レンゴク ━】
第19章  動き出す兄の動機
  


「はっ?〝恵見〟、だと・・・」


 妹の口から思いにもよらない人物の名前が出て動きが止まった。

 〝恵見 桃環〟・・・乙女グループ元顧問弁護士。乙女 聖子の恋人であったが自分に彼女が乗り換えたことにより殺害。罪を弁護士の知恵と力で冤罪を作り上げて逃げおおせていた男。
 しかし自白と証拠で捕まり投獄されたハズ・・・・・・


「お兄ちゃん・・・?」


 兄の様子が変わったのが気になった。


「なんで、アイツだ?」


 いったい〝誰が〟権力者の娘を殺めた男を釈放したと言うのだろうか・・・。


「お兄ちゃん?大丈、っん゛!!?」


 兄を心配して声を掛けた瞬間に両方に挿入っていた指を乱暴に引き抜かれた。


「いま。考え事してんだ、うるせぇ!!」


 苛立ちが収まらず妹の頬を叩いた。


「っ・・・」


 頬に鈍い痛みが走る。


  
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