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贖罪の檻。【煉獄━ レンゴク ━】
第22章  最初の腕<カイナ>へ・・・
  


「月良さま・・・」


「っ!!?」


 声を掛けられて顔を上げると懐かしい人が居た。


「お久しぶりです。ご機嫌、いかがでしょうか。」


「彼方、さん・・・・・・っ」


 相変わらずの柔らかで低い物腰。しかし自分を組み敷いたことに変わりのない男。でも〝逃げる〟と言う行動には、移れなかった。もっと緊張したり恐怖に襲われるかと思ったのに現状があの日々よりも堪えがたい所為なのかビクリともしなかった。


「少し、お付き合い・・・頂けますか?」


「いいえ・・・お兄ちゃんが居るので行きません。」


 視線で兄を確認しながら静かに返した。


「良巳さんは、会長のお相手中ですから・・・少し離れても大丈夫だと思いますよ。」


「いいえ。もう私たちは、関係ありません。椥さんにもそうお伝え下さい。」


 もしも兄にこんな場面を見られたら一大事だ。


  
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