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贖罪の檻。【煉獄━ レンゴク ━】
第27章  狂気の欠片
  


「下、準備・・・・・・?」


「ええ。私は、食器を片付けて掃除を終えてから来てあげるから〝月良〟が1人ですぐに出来るように下準備しておいてちょうだい。」


 きちんと少女を見つめ返して伝えた。飢えた獣の目には、逆らえない。


「・・・判った。準備してる。だから、早く戻って来て。」


「はいはい。(欲望丸出しじゃないの。)」


 少女の頭を撫でると猫のように手に擦り寄ってくる。


「じゃあ、またあとでね。」


「うん。」


「っ・・・」


 少女の素直な返事に違和感と恐怖が込み上げたがトレーに食器を乗せて地下室を出た。

 だんだんと少女ともう一つの人格の境界線が霞んでいく。欲望の為に囚われていた少女は、本来の人格に堕ちようとしている。
 それを主は、望んでいるのか・・・待っているのか。
 従順さが恐ろしい。

 己の欲望にいまの人格は、歯止めを利かせられない。


  
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