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贖罪の檻。【煉獄━ レンゴク ━】
第32章  それは、新たな罠
  


 優しい笑顔と声音に流されてしまいそうだった。しかし思い出した。〝逃がしてやる〟と言われたのに・・・これなら振り出しに逆戻りだった。


「帰して・・・帰して下さいっ。」


「ここでは、自由なんですよ。なにが不満なんですか?」


「〝なにが〟って、本当の自由が・・・・・・」


 言い終わる前に言葉が引っ込んだ。男の顔が変わる。


「どうして・・・あなたは、学習しないんでしょうかね。」


「あっ、・・・椥さ・・・・・・」


 腕を掴まれて後ろに縛り上げられた。


「〝お仕置き〟、ですよ。」


「あ・・・、どこにっ」


 引っ張られてベッドサイドの窓からテラスに出された。


「っ・・・・・・」


 強い潮風に当たる。


「気分転換に、外でシしょう。」


「いやっ、人に見られ・・・・・・」


 テラスの向こう側が見えなくて怖い。


  
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