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贖罪の檻。【煉獄━ レンゴク ━】
第35章 与えられる快楽
「聖子<ミナコ>。お前は、本当にバカな子だ・・・」
遺品の写真には、屈託なく笑う義妹が写っている。
兄妹の情はない。関係さえ築いて来なかった。しかし少女を見て驚いたしイライラした。
身勝手な兄のせいで自分が辛い目に遭うと言うのに“兄を信じる”と言い切り抵抗してきた。
“兄妹愛”が鬱陶しかった。注視して来たなかで少女の兄は、思っているような人間でないことを知っていた。
だからこそ少女の兄に対する純粋さと愚かさに苛立ったし関係を壊してやりたくなった。
何度も少女を傷付けて踏み付けたが兄への思いは、揺るがなかった。だから手放したときの感情を見ないふりした。
しかし再び出逢った少女は、兄の本性を知っていた。
兄との生活で少女は、別人格を造り生きていた。それでも兄を棄てないそんな愚かな少女を堕とすのが自分じゃないことが悔しかった。