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デブオタ・キモオの鎮魂帰神
第2章 猿になり、仕事をして、また猿になる。
会計を済ませて表に出る。後ろを振り向かず、女性を覆っているオーラに集中した。

女性乗っ取り成功。

中年男性を待たずに外に出てきた。

先を歩く流星の後を追うように歩いた。

横路に入り、裏通りをクネクネ曲がりながら歩いた。

途中から女性が前を歩き、流星が後ろを歩く。

少し大きな通りに出ると、そこはラブホ街。

お城みたいなラブホテルの前で立ち止まる女性。

「ここにしましょ。」

後ろを振り向き流星に告げる。

黙って頷くだけ。

心の中は穏やかでない。

人生初のラブホに、初体験ができることへの期待で胸高鳴っていた。

そんな流星に声を出せと言うほうが酷である。

エントランスに入って、液晶板を見入る。

各部屋の様子が映っている写真から部屋を選ぶらしい。

女性が選び勝手に部屋を決めてしまった。

ボタンはお泊りコース。が押してあった。

(ふぅ~ん!勉強になるなぁ!)

ラブホの使い方なんて判らない流星にとってはありがたい存在だ。

だが裏を返せば。それだけ遊んでいるってことになるんだが。

部屋に入り、ソファに座る。

女性がどこか他の部屋に行ったので会話も出来ない。

冷蔵庫からビールを出して落ち着こう。

ビールは缶ではなく小さいビン。

千貫で開け、コップに注いだ。

すると目の前の真っ暗だったガラスの壁が突然明るくなった。

ガラス張の部屋に女性が入り蛇口を開ける。

お風呂が丸る見え。

どうやら、お風呂を貯めているようだ。

風呂場から出てきた女性が、流星の飲みかけのビールを飲み

「私は、一ノ瀬京華(いちのせ きょうか)。よろしく。

貴方は、星月流星さんですよね。」

「うん。」

「今日は、お客さんと同伴だったんだけど。ここに来ちゃった(笑)」

「同伴?」

「そう、キャバクラで働いているの。」

「お店では、ライムって名前で呼ばれてるんだ。」

「そうなんだ。ライムね。」

「歳は21になる。」

「俺は24だ。」

「うん、そうだね。知ってるよ。誕生日も知ってる。」

(なるほど、俺のデーターは全部判っているってことか!)

「お互い自己紹介も済んだことだし、一緒にお風呂入ろー」

「一緒に?」

「京華とは嫌ですか?」

「いや、いいよ。」

「お風呂へ、レッツ・ゴー!」
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