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炎の薔薇
第10章 炎

 唖然とする夫の顔が目に入ったが、そんな事は気にも止めずにまた酒を飲み始めた。

 もう頭はクラクラだった。

 飲んでも飲んでも、和也の情けない別れの言葉が頭にこびりついて離れなかった。


「………茜、あんまり飲みすぎるなよ。
俺、飯はいいから風呂入るわ」

 そう言い残すと樹生は私の視界から消えていった。

 わざわざ買ってきたコンビニ弁当をゴミ箱の中に勢いよく放り込んだ。

 普段なら絶対にやらない。

 貧乏生活をしているからこそ、食べ物の有り難みは人一倍知っている。

 人参の皮をきんぴらにして食べたり、挽肉をサイコロ状にして見た目を一口ステーキに見立てて工夫したり、ドレッシングは調味料で手作りにしたり。

 どんなに疲れても、節約を心掛けて努力だってしてきたのに………
どうして私は報われないの!!
こんなに頑張ってるのにどうして!!
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