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炎の薔薇
第10章 炎
呪いの儀式は夫の樹生が帰って来るまで何度も何度も繰り返して憂さを晴らしていた。
そんな只事ではない私の姿を見て、樹生は話し掛けた。
「茜、だいぶ飲んでるみたいだけど、何かイヤな事でもあったのか?」
あった、あった。
あんたがだらしない亭主だから、私は不倫したんだよ。
硬い絆で結ばれていたはずなのにさ、座敷豚女房に邪魔されてTHEENDさ。
笑いたければ笑えばいい。
笑えねぇーだろうけどさ!
あんたも座敷豚亭主だもんな!
世の中は理不尽で出来てんのさ!
伴侶に迷惑掛けて、のうのうと生きてるお前らみたいなのが居るから不倫の恋が生まれるのさ!
お前ら豆腐の角に頭ぶつけて一度死んでくれないかな?
私の心の中は鬼が罵倒する。
「酒でも飲まなきゃ、やり切れない時あるんだよ!
それは一体誰のせいだ?
この貧乏生活で心が荒んだ生活をずっとさせられてきたんだよ。
疲れたよ。
自分が作った借金でもないのに毎日クタクタになるまで働いた。
あんたの借金のせいで欲しいものまで我慢してるんだよ。
逆の立場ならどうよ?
ヘラヘラ笑って生きてられる?
出来ないよね?
ならさ、放っておいてくれない?」
八つ当たりには違いないのだが……
溜まりに溜まった心の毒を夫にぶつけていた。
それでも私の怒りの炎は鎮火しなかった。