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第11章 抜け殻になって

　それでも、完全に忘れ去るなんて事は出来なかった。
私はそんなに器用に出来てない。
もう二度と過去には戻らないと誓いを立てる事で、日々の生活に少しずつ戻っていった。

　一年も一緒に過ごせなかった背徳の恋。
そもそも不倫の恋でシンデレラを夢見る方が図々しいのだ。

　そんな恋に走らないように、仕事以外にも自分を忙しくする趣味を作った。
ネットで検索しながら手の込んだ料理を作ったり、推理小説などを買ってきて読書したりと、取り敢えず暇な時間を何かに没頭しようと心掛けた。

　時間は止ってなんていなかった。

　どんなに苦しくても辛くても、みんな過去になっていくんだ。

　和也との事も過去と割り切って半年が過ぎた頃、思わぬ人から連絡が入った。