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炎の薔薇
第11章 抜け殻になって
人間は無視されるのが一番辛い事。
時が経つにつれて、終わった恋にいつまでもしがみついても何も変わらないって事に気づかされた。
執念深い和也への愛も終焉を迎えた。
それにいつまでも不摂生な生活を続けてもいられなかった。
かなりゲッソリした私を見て、周りが心配するようになった。
頬の肉は痩けて貧相な顔になり、肌はガサガサ。制服のスカートがウエストからずり落ちてしまうほど痩せてしまった。
自分の容姿も醜くくしていた事にも気づけた。
そして、和也の事をスッパリと諦めた時、食欲も自然と湧いてきた。
久し振りにキッチンに立ち、カレーを作った。
匂いに誘われるように麻央が帰ってきて、「いい匂い!!ママのカレーだ!!超楽しみ!!おかわり沢山する!!」とはしゃいで喜んだ。
こんな何気ない事が私の目を覚ましてくれたのだ。
この子は私を必要としてくれている。
愛しい存在がこんなに近くに居たのに、自分が女である事を優先していた。
それなのに、この子は純粋に私を求めてくれた。
この子に大人の事情など関係ない!
私の生きる意味は、いつかこの子が私の元を旅立つ日まで大事に育てていく事だ!
「麻央、今日のカレーは辛いよ!!
もうすぐ出来るから、手を洗ってお皿出しておいてね」
「ハイ!」
胸に響いた娘の声。
本当の愛はこんなに近くに在ったんだ。