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炎の薔薇
第1章 偽りのシンデレラ
楽しい時間の中に思い出す、苦しかった過去。
幸せとは思えない現実の中に希望という光が欲しいと願った。
「ええもんやね。こうして食事を楽しむのも」
「ええ」
「笑顔がここにあるっちゅう事は、何よりのご馳走なのかもしれんね。
それに茜ちゃんと居ると心が癒されていくんやな」
「そう?」
「なんやろうね。
結婚したら、他の女性を食事に誘うなんて普通有り得ん話やろ?
なのに、勇気を出して誘ってみて良かったって思ってしまう。
エエ事やないのに」
和也は言った後に照れ臭そうに笑った。
和也は経歴はエリートだが、それは公言しないと見た目からは想像しにくい。
見た目は結婚してすっかり落ち着いてしまったおじさん。
歳は私より一つ年上の38歳なのだが、その割には少し老けて見えた。
ポコンと出たお腹はスーツの上から隠せない。
外食が多いと聞いていたが、高カロリーのものを詰め込んで出来上がった体なのでは?
と想像してしまう。