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炎の薔薇
第1章 偽りのシンデレラ
一流と名のつく料亭の個室にて、着物の仲居さんが料理を運び、優雅にランチタイムを楽しむ。
こんな贅沢をしたのはどれくらいぶりだろうか?
目の前にはその接待を当たり前のように楽しむ男がいた。
「ここの湯葉掬いは外人さんには好評でね。
茜ちゃんの誕生日ももうすぐだと聞いて、ここ予約したんやけど……気にいって貰えたかな?」
この時……
この人と私は身分違いなんだと思えた。
オニューの淡いピンクのワンピースに薄紫のレースのボレロを羽織り、清楚な装いできめてきたつもりだった。
髪は三日前に美容院に行き、前下がりのボブスタイルを整え、誕生月のサービスでトリートメントまでして貰ってツヤツヤだ。
鏡を見る度に自分に満足していたはずだった。
ワインレッドの艶のある口紅だって、これから深まるであろう秋にぴったりのメイクのはず……
なのに………
私はこの場に不釣り合いな女なんだと思ってしまうの……