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炎の薔薇
第2章 デート
三度目のデートの帰り道、クリスマスツリーの点灯式を遠くから眺めていた。
ロマンチックなシチュエーションに酔いながらも、人目を気にしてその場所に近づく事が出来ない。
それでもその瞬間に立ち会いたいと、手を繋いだまま立ち止り、その景色を眺めた。
ツリーを眺める和也の横顔をそっと眺めた。
食事をしたり、手を繋ぎながらショッピングを楽しんだりの健全なデートを三度目までは楽しんだ。
別にこのままでもいいと思う自分もいた。
私は十分シンデレラになれた。
それに満足もしていたし、この健全な関係が壊れてしまうのも怖い。
和也の意思で私を抱きたいと思うまでは自分から誘うつもりもない。
障害のない恋愛をしているならまだしも、不倫へと私から導くのは自分の中でタブーとした。
自分の体を捧げるなら、喉から手が出るほど欲してくれる男でなければつまらない。
エリートの顔をした真面目人間の和也が、一人の男として卑しくなる姿を見届けてから、自分も卑しくなればいい。
灯りが段々と灯るクリスマスツリー
人々はそんなツリーを囲み、歓喜する。
和也は私を抱き寄せた。
「細い肩やな。
女の人の繊細な肩や。
好きや。
帰したくないほど」
私達の唇は重なる。
クリスマスツリーの灯りが全て灯り、拍手の渦に包まれながら、離れたくない唇は何度も何度も重なりあった。