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炎の薔薇
第3章 雫

 運転席の和也もやや緊張した面持ちでハンドルを握っていた。

「天気が晴れて良かったね」

 これからの行き先に余り天気は関係ないが……

「そやね。車停めたら美味しいコーヒー飲もう」

「うん」

「デイユースプランのあるシテイホテル予約してるから。
駅近で万が一急いで帰らなあかん時も、直通の電車で帰れるから安心してな。
駐車場もあるし、食事もルームサービスで取れるからゆっくり出来るで」

「有難う」

 最初のデートの時、急な用事で早々と帰る事になった。
遠くに来ていたらそうもいかない。
そんなところまで考慮するなんて和也らしい。

 今日も何の前触れもなく、仮に急な用が入ったらどうするの?
あんな事をしている最中だったら?
仕方ないで帰してくれるの?

 なんて想像したら可笑しくなった。
私の頭の中はかなりエッチな妄想も繰り広げられていた。
和也だってそうなる事を望み、今日のデートコースをなるべくスマートに行動しようと思ったんでしょ。

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