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炎の薔薇
第8章 甘く切なく……
そして季節は夏を迎えていた。
「たまにしかないんだけど、うちの会社でも研修っていうもんがあるのよ。
夏はさ、衛生面気をつけないと食中毒とか怖いでしょ?
だから、そうならない為の対処法とかのお勉強するのよ。
和也の大学の近くで良かったわ」
「そのお陰で茜と会えたしな。
今時は事務員さんでもそんな研修受けるんやな」
「そうだよ。事務員って言っても小さい会社じゃ何でも屋さんよ。
仮に食中毒が起こって最初のクレームは事務所に電話でくるわけだから、その対応もあるでしょ。
だから今回は私が研修に行かされたってわけ」
「なるほどね」
「でも、和也にこうして会えてお茶出来たじゃない。
有り難い研修だわ」
「俺もラッキーや」
不倫のドス黒さを常に背負う二人であっても、オレンジの夕焼けを見ながら過ごす愛しい時間も必要だった。