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炎の薔薇
第8章 甘く切なく……
「会社には感謝してるの。娘が保育園に通ってる頃から雇ってくれて、突然熱を出したり、体調が悪い時や学校行事なんかの休みは優遇してくれたわ。
小さな会社だから、みんな協力しながらやってる。
それに仕出し弁当屋たからお昼は会社のお弁当も食べさせて貰えるのよ。
ランチ代が掛からないのも有り難いわ」
「美味しい弁当なんやろうね。
何がお勧め?」
「私はハムカツが好きかな」
「茜はカロリーやボリュームあるもんが好きな割には太らんね〜」
「エヘヘ。それも有り難いと思う。そういう体質に産んでくれた親に感謝かな」
「茜、ここ」
「えっ?」
「あっ、ここ」
和也は私の唇についたピザのパン屑を取った。
「有難う」
「何だかそんな茜も可愛いなと思って。
話に夢中で口にパン屑つけても気づかないで無防備なとこ。
ちょっとの時間でも会いたくなる笑顔やな」
「美味しいものを食べている時は正直な顔になるのよ。
好きな人と一緒にいる時の顔もね」
「食欲旺盛な茜も好きだよ」
和也は笑う。
ピザのパン屑がついている事すらも気づかないくらい話に夢中になり、その間ずっと和也の顔を見ていた。
少し気恥ずかしくもなった。