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炎の薔薇
第8章 甘く切なく……
ブランドものの高そうなネクタイなのは分かる。
店員に勧められてそのまま買ったのか、自分の趣味なのは分からないが、でっかい太陽の柄の入ったネクタイは何処か田舎成金のようでダサい。
決して口には出さないが……
私はプレゼントされたネックレスのペンダントヘッドを掌に乗せ、「あなたと私を繋ぐものをお互いに身につけるっていうのも素敵かなって思っただけよ」と呟く。
「発想が可愛いな。茜は」
「いつでも一緒にいたいの」
「俺もだよ」
「もっと早く和也と知り合いたかった」
「俺もやで」
恋人の甘い時間くらい可愛い女でいたかった。
ねぇ………
私は奥さんより可愛いですか?
YESとあなたが答えても、どうにもならないのが現実ならば……
今この瞬間に地球に隕石でも落っこちて、木っ端微塵に全てを破壊し、0の世界になってしまえばいいのにと願ってしまう。
私の願いなんか叶うはずもないのだから、これくらいの発想も許して欲しい。
不倫に幸せな結末なんて有り得ないよね?
不倫を許してくれる神様も居るはずもない。
見えない十字架で縛られた二人は、背徳の罪を背負いながら笑い合う。
罪深い二人の笑顔など許して貰えるはずも………ないのにね。