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炎の薔薇
第8章 甘く切なく……


 セックスが終わってからが本音が見えてくるもんではなかろうか……


ーー

 
「この香り、優しい海の香りって感じでしょ?」

「ええ香りやな」

「デオドラント効果もあるし、お風呂上がりスッキリした香りに包まれて幸せになるわ」

 アクアマリンの香りの青い海の色をした石鹸と足の浮腫を解消するミントの香りのボディークリームを帰り道にお気に入りのショップに寄ってプレゼントした。

「今度はネクタイもプレゼントするわ」

「気にせんでええよ。俺は茜にそういうつもりでプレゼントを贈ったんやないし。
そういう気持ちに自然となってしもうたからや。
俺なんかに金遣わんでもええから」

 あなたは私がお金に苦労していて、今も返済に追われているのを知っている。
だからデート代の殆どはあなたが支払ってくれて、なるべく私に負担を掛けないように、さり気ない言葉で遠慮してくれてるのよね。

 惨めね。お金がないって事はこの世で一番惨めで心を卑屈にさせる不幸の種なのね。

 そんな事に負けないつもりで生きてきたけど、あなたに気を遣わせるほど私は見窄らしいのかしらね?

 私は和也のネクタイを引っ張って笑う。

「これ奥様の趣味?」

「いや、自分のものは自分で買うてるよ」

「もっとあなたに似合うものをプレゼントするわ」
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