この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第2章 中編
「宜しゅう御座います。それでは、その感謝を形で表して頂きましょう」
「家令様。それは、どういう意味で御座いますか?」
黙ったままの女の代わりに口を開いた侍女に、家令は答えました。
「少なくとも明日までは、こちらに止まって頂きます。その間は、私の言う事をお聞き下さい」



「まだこちらにいらしたのですか」
その日の夜更け。家令は、女と侍女と先刻やり取りした部屋の椅子に未だに埋もれている男を見つけて、苦笑しました。
「寝る気にならねえ」
「休んで頂かないと、明日に差し支えるのですが…お二人は客間にご案内して、休んで頂きました」
助けた代わりに言う事を聞けという取り引きは、女の頑なさを和らげるのに有効でした。
男の言葉には頷かなかった女は、明日まで言うことを聞くという形で感謝を表せという家令の言葉には、仕方無くではあっても従ってくれました。

「とりあえずお湯とタオルと、簡単なものですが着替えと、食欲が無くても召し上がれそうな軽い物をご用意して侍女様にお渡ししましたので、少しは落ち着かれるのではないかと」
「…有り難う、クロウ」
「いいえ。家の中の差配は私の仕事ですし、その位はお助けするお約束の内でも御座います」
「どうしたら、良いんだろうな…」
男は、途方に暮れていました。
女を助けさえすれば上手く収まると思っていたのです。ところが女は、助けた事がまるで無駄になる様な言動を返して来ておりました。

「どうなさりたいのですか?」
「あいつと一緒になれるとは思っちゃ居ねえ。だが、侍女と二人でどこか見つからねぇ所でひっそり生きて行ってくれて…もしそんな機会が来るんであれば、またいつか会えたらとは思う」
「その程度でしたら、別に無理な話では無いと思います。…ご本人様のお気持ちを除けば、ですが」
「…それが、分からねえ」
男は溜め息を吐きました。
/58ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ