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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第2章 中編
「おい、どうしたんだ、急に」
「悪い。急用を思い出した。残りの話し合いは、明日でも良いか?」
「それは、構わないが…お前、顔色がさっきよりもっと悪くなってるぞ。大丈夫か?」
「大丈夫だ。一晩ゆっくり休めば治る」
「分かった。また明日会おう。無理するなよ」
「ああ。ありがとうな。これで失礼する」
男は友人に挨拶した後、夫人に詫びを言いました。
「奥様。せっかく持て成して頂いたのに、申し訳無いのですが…今日はこれで失礼致します。どうぞ、お大切に」
「ありがとうございます。お帰り、お気をつけて」
男は友人夫妻に見送られ、慌しく領主の館を辞去しました。



「俺だ。居るか?」
「どうぞ」
男は急いで屋敷に帰り着き、女と侍女の休んでいる部屋の扉を叩きました。
直ちに扉が内側から開き、侍女が男を招き入れました。

「体の具合はどうだ。大丈夫か?」
女は寝台の上に横になり、枕とクッションで半身を起こしておりました。男は椅子を引っ張ってきて女の側に置き、よく見えるように腰掛けました。
女はこちらを見もしませんが、昨日見た時よりも顔色は良くなって、頬に赤みが差しています。表情に生気が戻っているのが窺われ、男は深く安堵しました。

「ありがとうございます。家令様が食べられそうなものを見繕って下さって、お食事も少し召し上がられて…ご気分も大分宜しい様です…そうですね?」
口を聞かず男の方を見もしない女の様子を見かねた侍女が、女に代わって答えてくれました。

「そうか。そりゃ良かった。食えそうな物を食って休んで、早く元気にならねぇとな」
「ええ、本当に」
男は侍女の相槌に軽く頷いて、また女の顔を見詰めました。

「もし、気分が悪くて食えねぇ物が有ったら、遠慮なく残して良いんだぞ?無理すんなーーお前一人の体じゃ無ぇんだから」
「っ!!」

昨日言い争って以来初めて、男は女と目が合いました。
女の目は衝撃で見開かれ、赤みの差していた頬からは、また血の気が引いてしまっていました。

「お前…まさか」
「お気遣いありがとう!でもあんな事が有ったせいでの不調よ?そのうち良くなるわ、気にしないで」
女は目を逸らして、早口で言いました。

「やっぱり、そうか…」
「何の事?」
「お前、腹に」
「なんでも無いって、言ってるじゃない!!」
「姫様!」
男が問い詰めるより先に、女の癇癪を、侍女が遮りました。
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