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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第2章 中編

「お願いです、もう諦めて…意地を張るのは、お止め下さい!せっかく助かった命なのに、このままでは、また…そんな事になったら、周りの者はーー私は、どれだけ悔やんでも、悔やみ切れません…!」
侍女はそこで言葉を切ると、俯いて黙り込んでしまった女の傍らにひざまずいて、白く細い荒れた手を握りました。
そして侍女は目を閉じて、誰にともなく呟き始めました。
「…酷い噂が持ち上がって、姫様は外出を一切禁じられました。その時は私達二人共、ほとぼりが冷めればまた元に戻れるだろうと思っていたのです。以前も有らぬ疑いをかけられて、外に出るのを禁じられた事が御座いましたので。でも、そのすぐ後に、姫様は体調を崩されました。しばらくして、それが身籠もられたからだと気付いたのですが、その時には既に体調を崩した原因について、お医者様を呼んで見て貰う予定が決まっていたのです。それが、今日でした。お医者様に診られては、ご懐妊されていることがはっきり分かってしまいます。姫様は一昨日まで、誰にも知られないように神経を使って気を配られ、私にも誰にも漏らさぬようにと口止めされて、長いことどうすべきか、悩んでおられました…ご懐妊が分かったらどうなるのかは、考えても分かりませんでしたが、良い事が起こる事など、有り得ない事だけは確かでした。姫様は、それならいっそ周りに分かってしまう前にと、お心を決められて…それで…」
女が俯いて唇を噛み何も言えずに居る間に、侍女はこれまでの経緯をぶちまけました。侍女もさぞ辛かったのでしょう。途中から涙声になり、言い終えると握っていた女の手を離し、床に崩れて激しい嗚咽を漏らしました。
「そうか…そんな事が、有ったのか…」
男は侍女の話を聞いて、抱いていた大方の疑問が解けました。
それと同時に、隣地の領主の女への扱いが全く理不尽なものであったことに気付き、激しい憤りを感じました。
(って事ぁ、こいつが石女だってなぁ、濡れ衣だったって事じゃねえか…!!今こうして身籠もってんだ、旦那の方が種無しだったって事だろうがよ…!)
その怒りが収まった後で、喜びがじわじわと男の心の底から沸き上がりました。
一生独り身で過ごすと決めていましたし、自分の血を受け継ぐ子を持つ積もりも有りませんでした。
それが、大事に思っているのに添えないものと諦めていた女との間に、思わぬ形で叶ったのです。
侍女はそこで言葉を切ると、俯いて黙り込んでしまった女の傍らにひざまずいて、白く細い荒れた手を握りました。
そして侍女は目を閉じて、誰にともなく呟き始めました。
「…酷い噂が持ち上がって、姫様は外出を一切禁じられました。その時は私達二人共、ほとぼりが冷めればまた元に戻れるだろうと思っていたのです。以前も有らぬ疑いをかけられて、外に出るのを禁じられた事が御座いましたので。でも、そのすぐ後に、姫様は体調を崩されました。しばらくして、それが身籠もられたからだと気付いたのですが、その時には既に体調を崩した原因について、お医者様を呼んで見て貰う予定が決まっていたのです。それが、今日でした。お医者様に診られては、ご懐妊されていることがはっきり分かってしまいます。姫様は一昨日まで、誰にも知られないように神経を使って気を配られ、私にも誰にも漏らさぬようにと口止めされて、長いことどうすべきか、悩んでおられました…ご懐妊が分かったらどうなるのかは、考えても分かりませんでしたが、良い事が起こる事など、有り得ない事だけは確かでした。姫様は、それならいっそ周りに分かってしまう前にと、お心を決められて…それで…」
女が俯いて唇を噛み何も言えずに居る間に、侍女はこれまでの経緯をぶちまけました。侍女もさぞ辛かったのでしょう。途中から涙声になり、言い終えると握っていた女の手を離し、床に崩れて激しい嗚咽を漏らしました。
「そうか…そんな事が、有ったのか…」
男は侍女の話を聞いて、抱いていた大方の疑問が解けました。
それと同時に、隣地の領主の女への扱いが全く理不尽なものであったことに気付き、激しい憤りを感じました。
(って事ぁ、こいつが石女だってなぁ、濡れ衣だったって事じゃねえか…!!今こうして身籠もってんだ、旦那の方が種無しだったって事だろうがよ…!)
その怒りが収まった後で、喜びがじわじわと男の心の底から沸き上がりました。
一生独り身で過ごすと決めていましたし、自分の血を受け継ぐ子を持つ積もりも有りませんでした。
それが、大事に思っているのに添えないものと諦めていた女との間に、思わぬ形で叶ったのです。

