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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第2章 中編

「久々にその軽口を聞いて、安心したぞ」
友人はにやっと笑いました。
「お前、ずっと様子がおかしかっただろ。特に最近は酷かった。今迄に輪をかけて沈んだ顔をしてるし、喋りもしないし…それだけ軽口が叩ける様になったなら、もう心配無いな」
「心配させてたんだな。済まなかった」
「お前にしては珍しく素直だなあ!今日は良い方の意味でおかしいぞ。この仕事が余程重荷だったのか?」
友人にからかわれた男は、深呼吸を一つして、口を開きました。
「実は、俺にも子が出来た」
「え」
「後継ぎを早くだの何だのと責っ付かれる度に子なんざ要らねぇと思っていたが、出来てみると嬉しいもんだな。お前の浮かれっ振りが、やっと分かった」
男は嬉しいと言いながらも、ずっと机の上の書類を見ていて友人とは目を合わせようとも致しません。決して手放しで喜んでは居ない風な男の態度を、友人は不審に思いました。
「そうか…まずは、おめでとう」
「ありがとう」
「驚いたぞ。子が先に出来てから一緒になる夫婦は時々居るが、お前には全然そんな素振りは無かったからな。ところで」
友人は言葉を切って、男の方をじっと見詰めました。
「相手はーー子どもの母親は、誰なんだ?」
「…お前がこの前噂してた女だ」
「何!?」
友人は男の返事を聞いて、椅子から立ち上がりました。
「まさか、お前…」
「あいつが軟禁される原因になった噂は、今回ばかりは本当だったって事だな」
男が自嘲気味に言うのを聞いて、友人はカッとなりました。
「いつから、そんな事に?!」
「お前からあいつと旦那の素性を聞く少し前に初めて会った。そん時にあいつに惚れた。人妻だと知った時にゃあもう遅かった」
「あの時か?!まさか、あの平手打ちの主が」
「ああ。初心な反応が可愛くて、ちょっかい出して引っ叩かれた。そん時はまだ、結婚してるだなんて思いもしなかった」
友人は居ても立っても居られぬ様子で、男の傍らにつかつかと歩み寄りました。
「どんな経緯が有ろうが無かろうが、人妻だぞ?!話を聞いて納得する者が、居る訳無いだろう!!」
「言い訳にしかならねぇ事ぁ分かってる。身籠った事が切欠であいつは家を出て、今は俺んとこに居る。事情が有って、嫁ぎ先では死んだものと思われている」
男は友人の非難にも関わらず、淡々と話し続けました。
友人はにやっと笑いました。
「お前、ずっと様子がおかしかっただろ。特に最近は酷かった。今迄に輪をかけて沈んだ顔をしてるし、喋りもしないし…それだけ軽口が叩ける様になったなら、もう心配無いな」
「心配させてたんだな。済まなかった」
「お前にしては珍しく素直だなあ!今日は良い方の意味でおかしいぞ。この仕事が余程重荷だったのか?」
友人にからかわれた男は、深呼吸を一つして、口を開きました。
「実は、俺にも子が出来た」
「え」
「後継ぎを早くだの何だのと責っ付かれる度に子なんざ要らねぇと思っていたが、出来てみると嬉しいもんだな。お前の浮かれっ振りが、やっと分かった」
男は嬉しいと言いながらも、ずっと机の上の書類を見ていて友人とは目を合わせようとも致しません。決して手放しで喜んでは居ない風な男の態度を、友人は不審に思いました。
「そうか…まずは、おめでとう」
「ありがとう」
「驚いたぞ。子が先に出来てから一緒になる夫婦は時々居るが、お前には全然そんな素振りは無かったからな。ところで」
友人は言葉を切って、男の方をじっと見詰めました。
「相手はーー子どもの母親は、誰なんだ?」
「…お前がこの前噂してた女だ」
「何!?」
友人は男の返事を聞いて、椅子から立ち上がりました。
「まさか、お前…」
「あいつが軟禁される原因になった噂は、今回ばかりは本当だったって事だな」
男が自嘲気味に言うのを聞いて、友人はカッとなりました。
「いつから、そんな事に?!」
「お前からあいつと旦那の素性を聞く少し前に初めて会った。そん時にあいつに惚れた。人妻だと知った時にゃあもう遅かった」
「あの時か?!まさか、あの平手打ちの主が」
「ああ。初心な反応が可愛くて、ちょっかい出して引っ叩かれた。そん時はまだ、結婚してるだなんて思いもしなかった」
友人は居ても立っても居られぬ様子で、男の傍らにつかつかと歩み寄りました。
「どんな経緯が有ろうが無かろうが、人妻だぞ?!話を聞いて納得する者が、居る訳無いだろう!!」
「言い訳にしかならねぇ事ぁ分かってる。身籠った事が切欠であいつは家を出て、今は俺んとこに居る。事情が有って、嫁ぎ先では死んだものと思われている」
男は友人の非難にも関わらず、淡々と話し続けました。

