この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
姫巫女さまの夜伽噺
第6章 志摩の過去
**********
「あんの、色ボケクソ野郎!」
伊良が完全に寝たのを見てから
志摩は部屋を後にすると
周りの式神が恐怖で燃えカスになるほどに
怒りを露わにした。
廊下をドカドカ歩くと
せわしなく働く女中たちにぶつかりそうになる。
女中たちは志摩を見ると
その美しさに顔を赤らめた。
怒ってらっしゃる志摩様のなんと美しいことか
とその日の夜の宿で
女中たちの間でこの話題で持ちきりになった。
それはさておき
志摩は怒りを露わにしずんずんと宿の奥へと向かう。
結界を難なく抜けると
穂高専用の部屋へとたどり着く。
そこの襖を思い切りあけて
子どもが泣き出すほどの大声で穂高を呼んだ。
「おい、穂高!」
「はいはい、どうしたの?」
志摩が来ることが分かっていたのか
穂高はいたずらっぽそうな顔で
志摩の後ろから彼に抱きついた。
志摩の怒りが沸点を通り越し
狐火が周りに散乱する。
「てめぇ、おちょくんなよ…」
ぼ、ぼ、と狐火が穂高の周りにも現れる。
穂高はそれに驚く事なく
ニコニコと志摩に抱きついていた。
「来ると思ってたよ。
本当に来ちゃうから、志摩はいつまで経っても僕の予想の範疇だ」
穂高は自分の読みが当たって嬉しいのか
志摩から離れると部屋の中へと入った。
そこには、見るも美しい女が
半裸の状態で麻縄に縛り上げられて
天井から吊るされていた。