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姫巫女さまの夜伽噺
第6章 志摩の過去
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その娘が差し出されたのは
今から数えるのさえ面倒なほど
とてつもなく前の出来事だった。
その娘は小さい時に口減らしの為に商人に売られたが
なかなか器量が良かった為に
大きいお屋敷に住み込みで奉公することになった。
そこの大旦那に目をつけられ
夜な夜な大旦那は
彼女を侍らせるようになった。
「麻(あさ)は、とてもそれを嫌がった。
奥方がいるのになんで、と。
だが、阿呆の大旦那とやらは、麻を手放さなかった」
そのせいで麻は奥方より憎まれ
ひどい仕打ちを受け続けた。
そんなある日、ついに耐えられなくなった彼女は
山で薬草を取るように言われたのをきっかけにお屋敷を出た。
何日もかけてこの山へと向かい
そして、村で巫女となり、ほどなくして姫巫女として山へと差し出された。
「…そうして、此方に来ることになったんだ」