この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
姫巫女さまの夜伽噺
第6章 志摩の過去
「…だから、もっと壊してやりたかった…」
志摩は金色の瞳を瞼の裏にしまった。
白いまつ毛が揺れ動き
目を開けた時には
そこにはもう悲しみも何もなかった。
しばらく志摩が黙りこくり
あまりの重たい空気に皆が押し黙っていた。
その沈黙を、穂高の優しい声が破る。
「壊そうと志摩は試みて、そして壊そうとすればするほど
志摩の愛情に麻木は正気に戻ってしまう。
僕はそんな二人を見ていられなかったんだ。
だから、彼女が人間の寿命で死ぬまで
志摩を幽閉したんだ」
「え、幽閉⁉︎」
伊良が驚くと
志摩はひょい、と肩をすくめた。
「しばらく地下牢にいた。
気がついたら、麻木はこの世からいなくなっていた。
俺たちの寿命は、それくらい長い
…人間の寿命が、一瞬に感じるほどに」
だからこそ、と何かを言いかけて
志摩は口をつぐんだ。