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姫巫女さまの夜伽噺
第6章 志摩の過去

「…だから、もっと壊してやりたかった…」


志摩は金色の瞳を瞼の裏にしまった。
白いまつ毛が揺れ動き
目を開けた時には
そこにはもう悲しみも何もなかった。


しばらく志摩が黙りこくり
あまりの重たい空気に皆が押し黙っていた。
その沈黙を、穂高の優しい声が破る。


「壊そうと志摩は試みて、そして壊そうとすればするほど
志摩の愛情に麻木は正気に戻ってしまう。
僕はそんな二人を見ていられなかったんだ。
だから、彼女が人間の寿命で死ぬまで
志摩を幽閉したんだ」


「え、幽閉⁉︎」


伊良が驚くと
志摩はひょい、と肩をすくめた。


「しばらく地下牢にいた。
気がついたら、麻木はこの世からいなくなっていた。
俺たちの寿命は、それくらい長い
…人間の寿命が、一瞬に感じるほどに」


だからこそ、と何かを言いかけて
志摩は口をつぐんだ。
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