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姫巫女さまの夜伽噺
第6章 志摩の過去
「さて、じゃあそろそろ
今朝の躾けをしないとだね。
志摩、離れられないのなら
そのまま手伝うんだ」
穂高の無慈悲な声に伊良は正気に戻った。
見れば志摩はいつもと変わらず
しかし、伊良をしっかりと見つめる。
『…愛蘭、俺の声が聞こえるか?』
それにこくり、と彼女は小さく頷く。
それを見て志摩が
ほんの少しホッとした顔をした。
『この術は穂高には勘付かれてない。
いいか、愛蘭。
お前がどんなに壊れそうになっても
俺が絶対に人間に戻してやる。
お前まで、麻木のようにはさせたくない…』
志摩の真摯な瞳に射られると
伊良は切なさがこみ上げてきた。
それを知ってか知らずか
穂高は二人に近づいた。
『壊れそうになったら、俺の声を聞け、愛蘭。
俺の愛情だけ受け取って、俺だけに愛されろ。
俺は…もう、人間ではなく、お前が愛しい。』
そう言うと志摩は伊良の着物を剥ぎ取った。