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姫巫女さまの夜伽噺
第6章 志摩の過去
(…俺はお前に何もできなかった。
そのぶん苦しんだ、充分すぎるほどに。
この娘を人間のままでいさせるために
壊さない様に俺が愛情を注ぐから…。
麻木、どうか俺を許せ…)
「…今日は、これで、中に入れたら終わりにしようか」
穂高は動けない伊良を持ち上げると
今度は志摩の上に寝かせる。
伊良はぴったりと志摩の肌に触れ
涙をぼろぼろとこぼしながら志摩を見つめた。
その顔を見て、自分の独白が
伊良に聞こえていた事を志摩は理解する。
志摩は、その彼女の長い髪を耳にかけ
そして、自身のそれを
もう一度彼女の溢れかえる蜜壷の中に収めた。
『……愛蘭…俺だけを見て、俺だけを感じるんだ』
その志摩の声に、伊良はかすかにうなずく。
目には生気が戻り
志摩をまっすぐに見つめる。
志摩は愛しくなって、伊良に口づけした。
『愛蘭、助けてやりたい。だが、どうしようもできない。腹を括ってくれ』
姫巫女として生きる事。
その事実から逃げ出さないこと。
そして、いつか解放の日が来るまで
絶対に希望を捨てないこと。
『…そ役目が終わるまで、俺は絶対お前のそばにいる。離れない。信じろ』
志摩。
伊良の舌が
志摩に絡み付きながらそう放つ。
そばにいて。
志摩にだけ聞こえるように
伊良が唇だけを動かした。
その顔が苦痛と快楽にゆがむ。
「…何を、交わしているんだい?」
穂高が、伊良の門を突き破った衝撃が
伊良の中の衝撃と収縮で志摩にも伝わる。
穂高は柔和な顔で
伊良にずっぽりと入り込み
尻を軽く叩いた。
「…志摩、姫巫女は山のものだって、君が言ったんじゃないか。
なのに、そうやって独り占めするつもりなら
僕は制裁を与えないといけないよ」
伊良は声にならない悲鳴をあげて
穂高の刺激に腰を震わせた。