この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
姫巫女さまの夜伽噺
第6章 志摩の過去
「…独り占めなんてするつもりない。
麻木の時だって、独り占めしたつもりはない。
お前が勝手にそう捉えただけだろう…」
「麻木の時もそうだけど
君ほどの神狐が、何をそんなに人間に肩入れするんだい?
たかが人間じゃないか。
替えなんていくらでもいる。
人間にばかり、志摩は心を奪われるんだね。
人なんて大した事ない生き物だよ。
志摩が肩入れするほどの価値もない。
こうして、慰み者にするのがせいぜいって所じゃないか」
嫌がる伊良を無視して
穂高は無表情にもそう続け、腰を打ち付ける。
その快楽に伊良の中が伸縮するのを
志摩は感じていた。
「あのなぁ、そういう言い方はないだろう。
人間を憎むのを、お前もそろそろやめろ、穂高。
お前の半分は……人間じゃないか!」
「うるさい!」
穂高が声を荒げた。
怒りなのか、伊良のお尻を鷲掴みにし
まるで壊すかのごとく、半身を伊良の中に強く深くねじ込んだ。
「いやっ…ダメ、穂高…いやぁ!」
「こんな淫らな生き物から生まれたなんて
僕は信じたくない!
少し手なずければすぐ股を開いて…」
「それは人でも妖でも変わらないだろ!
色欲が強いやつは、人でも妖でも同じだ!
そうやって自分の力を誇示するために女を犯して
屈服させて、自分を高めるのはもう止せ!」
穂高の声は怒りと悲痛さが混じる。
苦しみをそのまま放つように
伊良へとねじ込み、背中に爪を立てた。
「いや、穂高痛い、痛いよ!」
「うるさい!
僕は人間じゃない、神だ!」
「今は神だが、半分は人だろう!
この半神半人が!
もうすぐ満月だ…よく考えろ、穂高」
穂高は伊良から自身を抜くと
さっと着物を羽織った。
痛めつけられた伊良は
息も絶え絶えに志摩に縋り付く。
志摩は彼女を抱きかかえるようにして半身を起こすと
穂高を淡々と見つめた。
「…穂高、意地を張るのはもう止せ。
だから、見放されたんだろう?
よく考えろ、穂高」
穂高は深呼吸すると
部屋を去ろうとふすまに手をかけた。
「…伊良は明日からまた志摩に預ける。
僕は低俗な人間と交わりたくない。
あと半月もしたら客に出していい」
そうつぶやくと、穂高は去って行った。