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姫巫女さまの夜伽噺
第2章 目覚めし巫女
その証拠に。
そう言って愛蘭に穂高が携帯電話を渡す。
「君のだね、岸本愛蘭」
名前を呼ばれて
愛蘭は穂高を見た。
「その感触は本物だろう?」
手渡された携帯電話は
紛うことなき自分のものだった。
画面は割れているが、電源はつく。
ディスプレイを見たが
圏外になっていた。
「君の荷物だから渡しておくよ。
人間の世界に帰る時に、必要になるかもしれない。
だけど、帰れる時は、もしかすると…」
そこまで真剣な顔で言いかけて
穂高はにっこりと微笑む。
「夢だと思うなら
もう数日休むといい。
体の痛みがひかないようなら
志摩に言えば治してくれるからね」
「なっ…!
冗談じゃないぞ、誰がこんな小娘に…」
志摩、と穂高がなだめる。
それに志摩はぐっと言いたいことを飲み込んで
渋々と「言われたらな」と答えた。
「数日経って、夢じゃないと気づいたら…私は…どうしたら…」
立ち上がって去ろうとする穂高に
愛蘭が声をかける。
予想以上に声を発するのが辛かった。
「どうしたかったの?」
襖に手をかけていたのを一旦やめて
穂高が愛蘭を見つめる。
その目は鋭くもあり、
そして、イタズラっぽくもあった。
「私は…私は…」
(…死にたかった…)
愛蘭の脳内を
今までの事がフラッシュバックする。
目からぽたん、と涙が溢れた。
「…死にたかったの…」
その答えに
穂高は口の端を持ち上げた。
笑っているようにも見えるが
なんとも妖艶な顔だ。
「大丈夫、愛蘭。
君はもう数日したら生まれ変われるから」
さあ、少しお休み。
そう言い残して穂高と志摩は去っていった。
そう言って愛蘭に穂高が携帯電話を渡す。
「君のだね、岸本愛蘭」
名前を呼ばれて
愛蘭は穂高を見た。
「その感触は本物だろう?」
手渡された携帯電話は
紛うことなき自分のものだった。
画面は割れているが、電源はつく。
ディスプレイを見たが
圏外になっていた。
「君の荷物だから渡しておくよ。
人間の世界に帰る時に、必要になるかもしれない。
だけど、帰れる時は、もしかすると…」
そこまで真剣な顔で言いかけて
穂高はにっこりと微笑む。
「夢だと思うなら
もう数日休むといい。
体の痛みがひかないようなら
志摩に言えば治してくれるからね」
「なっ…!
冗談じゃないぞ、誰がこんな小娘に…」
志摩、と穂高がなだめる。
それに志摩はぐっと言いたいことを飲み込んで
渋々と「言われたらな」と答えた。
「数日経って、夢じゃないと気づいたら…私は…どうしたら…」
立ち上がって去ろうとする穂高に
愛蘭が声をかける。
予想以上に声を発するのが辛かった。
「どうしたかったの?」
襖に手をかけていたのを一旦やめて
穂高が愛蘭を見つめる。
その目は鋭くもあり、
そして、イタズラっぽくもあった。
「私は…私は…」
(…死にたかった…)
愛蘭の脳内を
今までの事がフラッシュバックする。
目からぽたん、と涙が溢れた。
「…死にたかったの…」
その答えに
穂高は口の端を持ち上げた。
笑っているようにも見えるが
なんとも妖艶な顔だ。
「大丈夫、愛蘭。
君はもう数日したら生まれ変われるから」
さあ、少しお休み。
そう言い残して穂高と志摩は去っていった。